英ポンド/円相場は、2月26日の137.84円をボトムに足元では144円台後半まで切り返している。今週はキプロス情勢の先行き不透明感からボラタイルな展開になっているが、結果的には3月18日の140.83円が当面のボトムになっており、大きな値崩れは回避されている。
週末のユーロ圏財務相会合では、キプロスに対する緊急支援の条件として、同国の銀行預金に対する課税が求められている。しかし、キプロス議会は19日にこの課税案を否決したことで、依然として先行きが読めない状況になっている。キプロス側としては、銀行部門の破綻を回避するためには支援が必要不可欠な状況にあるが、預金課税は国内世論の反発が強く、合意形成に手間取っている。現在は、25日まで銀行休業日を延長して対策を講じている所であるが、欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)が支援条件の見直しに柔軟姿勢を見せるなど、ユーロ全体の危機発展を封じ込める動きが報告されていることが、パニック的なユーロ売り、更にはポンド売りの動きを回避させている。引き続き今後のヘッドラインには注意が必要であるが、現時点では危機再発からのポンド売りをメインシナリオとするのは難しい。
3月20日には、6~7日に開催されたイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)議事録が公開されたが、資産購入枠の据え置きは前回同様に6対3で決定されたことが確認されている。追加緩和に伴って、「インフレ期待が上方向に傾斜していく」リスクに対する警戒感の強さが確認できる。「ポンドの不当な下落を招く可能性」についても注意が喚起されており、予想されていたよりもタカ派的な内容になっている。実際、これを受けて改めてポンドを売り込むような動きは見られず、今後も円サイド主導で緩やかなポンド高・円安が進行する展開を想定したい。
今後1週間の予想レンジは、142.00~147.50円。